bondswiki~クロス~ - クロ酢SS
4つの島で構成される地方、アローラ地方。
この地方の特色は、ジム制度が、島巡りというものになっている事や、人とポケモンの助け合いが他の地方よりも強い事だと私は思う。
と、いっても、ここ…アローラ地方に来てからまだ2日しか経っていないので、まだ、この島…メレメレ島すらもあまり見れていないのだが。
そんな考え事をしていると、何かがぶつかってきた。
正面衝突したが、そんなには痛くない。
さて、ぶつかってきたのは、どんなのだろな…。
ぶつかってきた相手を見ると…それは、少年だった。
やってしまった。
色々な意味で。

話は数十分前に遡るのだが…。
僕、クロスは今日、寝坊をしてしまった。
ワクワクして寝られなかった、というのが理由なのだが。
別に今日がいつも通りならば、何ともなかったのだ。

いつも通りならば、だが。

今日は、僕が最初のポケモンを貰う日なのだ。

いや、こんな事なら夜にどれを選ぶかなんて考えなければ良かった。
そもそも、遅刻して他の二匹は居ません。
この一匹に決定です。
そんな事になったら折角決めたプランが水の泡だ。
大至急で準備をし、家(仮)を出る。
当然だが、走る。
何処にか?集合場所のリリィタウンへ、だ。
走る、走る、走る。
ただひたすらに走る。
近道をするために、普段通らない森の中を突っ切る事にした。
何か看板が見えたが、無視だ。
走る、走る、走る。
走…ガサガサッ…ん?
茂みが揺れた音がしたような気がした。
気のせいだよな………?
走る、は「グマァァァァァァァア!」
え?…え?
恐る恐る振り返る。
そこには、”リングマ”が居た
珍しいな、リングマが居るなんて。
でも、何かあのリングマ…怒ってないか?
リングマが手刀を作り、胸の前で交差させ、構える。
「グッマァァァア!」
そして、地を蹴り、突撃してきた。
横にダイブして、ギリギリ回避。
バキッバキバキバキッという音が聞こえた。
立ち上がって、リングマの方向に目を向けると、木にXの形の大きなキズが付いていた。
今の技が当たったら僕の体もあぁなるのだろう。
さて、僕狙いだという事ははっきりした。
正直、他のトレーナーに押し付けたいが、こんな森の中に入ってくるトレーナーはあまり居ないだろう。
期待薄だ。
と、なると一人で逃走するしかない。
僕に仮に特性があったら、「にげあし」が欲しい。
でも、僕にポケモンのような特性はない。
無いものねだりをしても、全く意味はない。
そんなものがなくても、この危機を脱しよう。

ーーー先に行動を起こしたのはリングマだった。
「グッッマァァァァ!」
さっき使った技とは違い、ただ突進してきた。
防御が薄いが、攻撃の手段さえも僕にはない。
ただただ逃げる事しか出来ない。
だが、少しずつ距離を詰められていく。
そして、進行方向には木がある。
このまま直進は無理なようだ。
と、なればどちらかに曲がるしかない。
左!
「グマァァァ!」
と見せかけて右だ!
「フェイント」を決めてやった。
リングマの攻撃が空を切る。
今のうちに距離を少しでも離す。
そう考え、全速力で走る。
20秒程経ち、追ってきているか、後ろを見た。
それが、ミスだった。
リングマ…あれ?居ない?逃げ切った?
やっ…
やった!と思った瞬間、何か壁のようなものにぶつかった。
「いって!…あ、ごめんなさい!」
そう言って、ぶつかった相手を見る。
そこに居たのは、桃色の髪に、金色の目が特徴的な僕と同年代……ちなみに僕は13歳って事になっている。
くらいに見える少女に出会った。
「……女性の胸にぶつかっておいて、いってとは良い度胸ね。」
そして、今に至る。
「いや、ごめんなさい!」
いや、例えあっても衝突したら多分痛いよ。
って、僕は何考えてるんだ…。
「何か言いたそうね。」
やっべ、考えてる事バレてるのか?
と、いうかこんなコントしてる場合でもないな。
さっきはリングマから逃げ切ったと思ったけど、それも絶対じゃない。
それに早くポケモンを取りにいかなきゃいけない。
「あー、僕、今日初心者用ポケモンを取りにいく日なんですよー。だから…」
手を離してくれないかな?
ポケモンを取りにいくと言った辺りで、手首をガシッと掴まれた。
逃がさないつもりらしい。
というか、地味に痛い。
「………じゃあ、私も付いていくわ。」
…何で?
「逃げられるかもしれないし。」
「ちょっと待ってくれ、訳が分からない。」
そもそも、逃げる必要があるのか?
僕が何かし…あ。
足元に、食べかけらしきマラサダが落ちていた。
「…………」
あー…これは僕が悪い。
多分、ぶつかった時に落としてしまったんだろう。
だから、僕のせいで落としたんだから買い直してくれ。って事なんだろう。多分。